コラム
ホームページが新しくなりました
ホームページが新しくなりました。
ご自分のこと、人間関係のことで行き詰まり、苦しく、誰かに相談してみようと思われたとき、灯っているあかりでありたいという思いから、私たち相談室のことを分かりやすくお伝えしたくて今回新しくさせていただきました。
トップページのカラフルな毛糸玉の写真は、臨床の中でいつもお話している、世界を白と黒として捉えるのではなく、いろいろな色で世界はできていることに目を向けてみましょうというメッセージと重ねています。
白と黒で捉える世界は、キラキラ輝く世界以外を暗く意味のない世界にし、楽しい時間以外はつまらない時間になり、美味しいと不味いしかなく、全てを良いと悪いに分けてしまいます。そして日常の何気ない、しみじみしたものを見えなくします。
良い悪い、快か不快、面白いかつまらない、1か0の二項対立は処理の効率がよく成果もあげます。しかし私たちの世界は、もっとしみじみとしたいろいろな色で満ちています。あなたの色に気づき、他者の中に似た色をみつけ、違う色ともハーモニーを奏でる、そのことの大切さをこのトップページには込めています。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のための緊急事態宣言下のみなさまに そしてStay homeのあなたに
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックな流行によって世界で多くの人が感染し、何十万という人が亡くなっています。今まで聞いたことのない頻度で救急車のサイレンが響いています。今私たちは、自分を守ること、そして大切な人を守るために、家庭にいること、Stay homeが求められています。
新型コロナウイルス(DOVID-19)が私たちに見せてくれている現象は、私たちは皆繋がっていて、自分の行動の結果は自分ひとりのものではないということ。私たちが自分を守ること、そして大切な人の命を守るためには、なにをすればよいのか、想像力を働かせること、共感することがこんなにも必要だということ。この同じ危機を私たちは一緒に乗り超えようとしています。私たちは同じ体験を共有しています。最前線で戦っている医療関係者だけではなく、世界中みんなが闘い、痛み、悲しみ、祈り、希望を持って耐えています。その最も大切な体験の単位が家族です。
ところが本来は大切な人を守るためのこのStay homeがパートナー間の緊張と葛藤を高めていることが懸念されています。この人類の危機ともいえる状況に立ち向かうチームであるはずのカップルが、Stay homeによって葛藤が増加し、DVにまで発展する場合があります。カップルにもともとの葛藤がある場合、さらに苦悩が増大することが心配されます。これまであなたを支え、繋がっていた人たちと空間と時間の共有ができなくなっていて、これまであなたを傷つけていた人と閉じ込められている人もいるかもしれません。
私たちはいま、見えない敵と戦っています。この未知のウイルスは、まだ治療薬もなければもちろんワクチンもありません。この感染への不安、見えない未知のウイルスへの恐怖、そして将来への不安は誰にとっても大きなストレスになっています。ストレスは闘うか逃げるかという生理的な反応を起こしていきます。ストレスを減らすために私たちは問題に対処して統制感を取りもどしたくなります。しかし、今私たちがすべきことはStay homeであり、したとしても当然のことで褒められることもありません。数字にもなかなか表れてこないので統制感が持てないでいます。
葛藤を抱えながら、不安とストレスを感じている者同士が同じ空間にいるとき、相手の存在や言動が見えない不安を見える不安に、見えないものへの怒りを見えるものへの怒りに変えていきます。その対象はパートナーであったり、お子さんであったりするでしょう。それはこの不安な状況をなんとかしようという気持ちからかもしれません。しかし社会でも多くのバッシングや偏見に繋がるように、それが家庭のなかでは相手への攻撃に転じてしまいます。
不安や状況に、孤独感、見通しが見えないことがより苦しめることになります。これまで繋がってくださっていた私たち相談室も、この1か月何もできずに忸怩たる思いで過ごしました。しかし、必ずお話を伺えるようにと模索し続けています。無理をしないで、頑張りすぎないで、ご自分を大切にして、おひとりで悩まないで、つらいときはHelpを出してみてください。
こころの弾力性のことをレジリエンスと言います。Grotbergという人はレジリエンスの構成要素として3つ挙げています。
①“I HAVE”要因(持っている):私を愛してくれ、助けてくれる人たちがいる
②“I AM”要因(自分の属性):私は良い子で、自分のことも、みんなのことも大切に思う
③“I CAN”要因(できる):私は問題に対処できるし、自分をコントロールすることができる
この3つを言ってみましょう。ご自身を信じられず、この「私」を「私」と言いにくいときもあるかもしれません。あなたは助けてくれる人が必ずいます。あなたは自分も他人も大切にする人。あなたにはその力があります。
安全と安心が脅かされ、目に見えない不安と目に見える不安が押し寄せてこころのエネルギーを奪っていくように感じられるとき、思い出してみてください。
他者は必ず助けてくれる存在で、この世界は安心なのだと今感じられなくても、あなたは助けてもらえる価値があることに変わりはないからです。
一日も早い新型コロナウイルスの収束を願っています。